〜 ろうそくの灯りが消えた時 〜



誕生日の時にだけ出てくる、まるくて、おおきなケーキ。
そしてそこに灯っている色とりどりのろうそく。
淡い光が電気を消したお部屋の中で……静かに、そして綺麗に輝いているの。

誕生日じゃない時は小さな三角に切ってあるケーキしか食べられないから……。
ろうそくはもちろん付いてないし、お部屋の電気も消したりしないの。
だから、どうしてもろうそくの灯りに見とれちゃうの。

私は……いつもろうそくを1本だけ消さないの。
でもね、消せないんじゃ……ないんだよ?
わざと……消さないでおくの。
いつも貴兄に一番近いところの一本だけ……わざと残しておくの。
そうすれば……ね♥

「何でいつも1本だけ消えないんだろうね?」

っていつも貴兄は聞くけれど、
本当のことを言うのは恥ずかしいから……。
「全部消しちゃって真っ暗になるのがちょっとだけ怖い」って言っちゃうの。
それも……少し、ほんの少しだけ本当なんだけど……。

そうしたら貴兄は、ケーキにろうそくじゃなくて花火……立てちゃったんだよね。
最初はすごく明るくて綺麗だったけれど、しばらくすると1本、また1本消えていって……。
結局、お部屋は真っ暗な上に煙でいっぱいになって……大変だった。

でも、本当に怖いのは……電気が付いた後のシャンパンを開ける音。
「ポンッ!!」って大きな音がするのはわかってるんだけど……。
どうしてもビックリしちゃう。
それなのに貴兄は栓をこっちに向けて笑ってるんだもん……酷いよ。
あ、そういえば、電気をつけた瞬間、クラッカーを鳴らしたこともあったでしょ。
あの時は心臓が止まっちゃうかと思ったんだから!!

「誕生日は1年に1回だけしかこないんだから」

って言っていつも私は驚かされてばっかり。
……むー。

だから、今日だけはろうそくの火、みんな消しちゃうの。
だって、貴兄はすぐ隣にいてくれてるし……。
それに……真っ暗じゃないと……。
……恥ずかしいから♥






あ、あれ?おかしいな?
私の誕生日のはずなのに……私からプレゼントあげちゃった。
でも、貴兄をビックリさせる事はできたから……いいの。
これは……いままでのお返しなんだからっ!!
……♥




〜 Fin 〜
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