今年も…………また……やってきた……
鳥は昨日と変わりなく……鳴いていて……
明るすぎる日差しは…………何故だか……憎らしいほどで……
今日が明日で………………明日が今日にならないものか…………
昨晩……眠るまでずっと思っていたものの…………
誰にもそんなことはできなくて…………
カレンダーを2日分……捲ってみたけれど…………
今日という日が無くなることは無くて…………
ささやかな抵抗だとしても……今日という日を過ごしたく…………なくて……
そんなことをしている間にも……時間は過ぎ……………………
憂鬱な舞台の…………幕が……開く…………
憂鬱とはいっても……忙しいというわけではないのだが…………
リボンも……いつものドレスも着ることを許されず……
薄着のまま…………家の使用人に手を引かれて………………
「いかなる理由であろうとも立ち入り禁止」と書かれた部屋の中へ……
寒い分には……一向に構わないのだが…………
こんな格好……………………。
裸足のまま歩き出すと……まずは柱を背にして背筋を伸ばす…………
顎を引いたら3秒止まり…………
隣の一段高い台にゆっくりと足を乗せる……
うん…………問題は………………ない。
それから……腕に布を巻かれたと思ったら…………
……ぎゅっと………………された……
どうせぎゅっとされるのなら…………
……………………いや……何でもない。
黒い……プラスチックで出来たスプーンのようなもので目を隠し…………
遠くの丸の……穴を見て……
しばらくしたら……反対も…………
同じ所ばっかり指しているからな………………
見えようが見えまいが……覚えてしまっているのだが…………
やり直すのも……面倒だからな………………黙っていよう……。
少し疲れたからと…………ミルクティを頼んだら……
「ダメです」と……短い言葉で…………簡潔に言い返してきた…………。
あいつには後で…………庭に散った花の掃除をさせるとしよう…………
どうせ放っておいても……勝手に腐って大地に還るのだろうが……
私を怒らせるとどういうことになるか………………身を持って分からせてやる……
1日で終われば……………………いいのだが……
…………。
ま……まぁ…………終わる頃には紅茶の1杯でも持って行って……やるか……
まだまだ咲き誇っているのに……下ばかり見ているのも…………虚しいだろうからな。
とりあえずその怒りは……
よくわからない形の…………妙なモノを力一杯……
握り締めて我慢しておくことにした………………
返した後に妙なモノの針のようなものが指す値を見て…………
受け取った使用人が目を白黒させていたが…………
……安心しろ…………壊しては…………いない。
それでも怒りは収まらない内に…………胸と背中を触られて………………
驚きのあまり乱れた呼吸を整えようと……深呼吸を繰り返していると…………
「今年もどこも全くお変わりありませんね。問題ありません。」と一言……。
確か去年も…………その前も……全く同じことを言っていたような気がする……
あいつは後で………………
……いや……すぐにでも…………ここ数年分の記憶を飛ばしておくことにしよう。
最後に……血を少し抜いたら…………終わり。
痛くはないし……怖くも…………ない。
だからといって………………目を逸らしているのは…………その…………
気分…………そう……気分だ…………気にするほどのことでは……ない。
「お疲れ様で御座いました。お召し物をどうぞ。」
「…………。」
「新しいお洋服のデザインはいかがなさいましょう。」
「…………これと同じ物を…………
後は………………適当で…………構わない。」
「承知致しました。1週間ほどでご用意致します。」
「…………うん。」
「お着替えが済みましたらお部屋のほうにお戻りになってお休み下さい。
すぐにミルクティと軽食を2人分、お持ちいたします。」
「……2人分?」
「はい。つい先ほど貴兄様からご連絡がございまして、
こちらに貴兄様が遊びにいらっしゃるそうです。
迎えの車は必要ないということでしたが、
時間的にはもうそろそろお着きになる頃かと。」
「そういうことは一番最初に言え!!
こんな格好……………………見られたらどうする!!」
「それでは、急いで着替えてしまいましょう。
ふふふ、それとも貴兄様に御髪を梳いてもらう方が宜しいですか?」
「バ……バカ!!」
憂鬱だった舞台の幕が降りた後は…………
笑顔のカーテンコールを残すのみ……
カーテンコールのその後は……………………
幸せに抱かれて…………眠るだけ。
そうだ…………めくりすぎたカレンダー…………
元に戻して……………………おかなければ…………な♥